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by サモセット・モーム

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ビジネス『ウェルチリーダーシップ・31の秘訣』
2002年5月22日(木曜日) : : コメント数(5)

久々に読書録を書きます。今回読んだのは『ウェルチ・リーダーシップ・31の秘訣』です。エジソンが作り出したGEを、伝統を排除しながらあそこまで収益性の高い企業にかえた経営の天才。かなり飛ばし読みをしたけれど、それでもこの鬼才ジャック・ウェルチの凄さは分かる。

ウェルチ・リーダーシップ・31の秘訣こんな経営の『け』の字も知らない若輩者が言うのもなんだけど、ジャックウェルチは凄い。そして彼が成し遂げたことってのは、とてつもないことだなと思う。20年前から90年代には世界規模の競争が必然となることを予測していたのはいいとして、その世界競争に勝ちぬくためにはスピードが必要だと考えた。そのためには40万人の雇用を抱える大企業でも、小さな会社が持つ俊敏さを持たないとダメだという結論に達する。そのスピードをつけるために、あらゆる手を講じるんだけど、それこそ、その当時のどの人間からも反対され、『頭のおかしい冷酷な男』と言われるような策だ。

  • ダウンサイジング(経営規模縮小)
  • リストラクチャリング(組織改編)
  • バウンダリレス(階層の破壊)

上のような、いまでこそ巷を騒がせている上記の言葉は、すべてジャックウェルチから始まった。なかでもバウンダリレス。これは凄いね。縦と横の壁をぶっ壊してしまったんだから。

部門毎の障壁を撤廃し、横の連携によるプロジェクトチーム制。でかい企業では、営業、財務、製造、設計、いろいろな部門があり、それぞれの持ち場がある。ただ、横の連携を必要とするプロジェクト(ほとんど全てはそうだとおもうんだけど)を前進させようとすると、部門間の衝突を免れない。だからデカイ企業ほど、どんな素晴らしいアイディアであったとしても根回しなくして前進はしない。その壁を、猛反発の中、断行したウェルチ。凄い。40万人の大企業で管理職だけで2万人いる。ほぼ全ては敵である中(だって管理職の数を減らそうとしてるんだから。自分の地位がなくなっちゃうんだからね。)、有言実行し、そしてその策は見事にプロフィットへと繋がった。

さらに、縦の障壁をぶっ壊すウェルチ。当時GEには、日本の多くの企業と同様、あらゆる場所にあらゆる管理職がいたわけだ。1つのアイディアを通すのに、何十もの判子を必要とし、実際アイディアを出してから実行するまでに数ヵ月かかるなんて常識さ。この数ヵ月。ベンチャーだったら1秒、1分、1時間で済むようなものに数ヵ月をかけていたら、企業として生き残れるわけがないと考えたウェルチ。断行。そして利益跳ねあがる。

猛反対にあいながら、管理職の数をバンバン減らした。そしてそれ以上に、現場の人間の意見を尊重し、それを採用した。責任と権利を与え、末端の社員でさえ『企業の経営者であるという意識』を根付かせた。いいアイディアならば、どの人間のアイディアでも採用した。40万人から22万人にまで社員数を減らしたけど、利益は上がった。凄い。

この、『いいアイディアならば、どの人間のアイディアでも採用した。』ってのは、本当に素晴らしい。『私は部長だから君のアイディアよりもいいアイディアを出す』なんてのはおバカな考えだ。『私はこの道20年だから、新人の君のアイディアよりもいいアイディアを出す』なんてのも、その新人の可能性を否定したオバかな考えだ。そう考えたウェルチは、22万人の脳みそを有効活用することを可能にし、そしてそれにより利益は跳ねあがったわけだ。

ウォルト・ディズニーがディズニーランドを建設する際にも、同様のことを行なっている。ディズニーと関係のない日雇いの土方の意見を採用した話がある。というか、ディズニーは(実際は知らないけど)、どの人間のアイディアであれ、それが良ければ採用する環境ができている。(興味がある方は『ディズニー7つの法則―奇跡の成功を生み出した「感動」の企業理念』を読んでみて下さい。)

さらに、この地位や立場に関係なく、優れたアイディアならばどんなアイディアも採用する、ってのは昔から優れた組織に共通するものだと思うね。つーのもさ、現場を知っているのは現場の人間。客のニーズを肌で感じているのは営業であったりマーケであったりするよね。なのに設計の人間がその営業の意見を無視して、製品作ったら売れるわけないわな。青島君じゃないけど、
『事件は現場で起こっている』
わけだから。

そのことを、とっくの昔に言っていた人がいる。中国・三国時代の魏の武将、司馬仲達その人さ。

将、軍に在りては、君命も受けざるところあり。いやしくもよくわれを制せば、あに千里にして戦いを請わんや。(『晋書 宣帝紀』)

将軍が軍の中にいるときには、たとえ君主の命令でも無視することがある。私、司馬仲達が勝てると思っているのに、どうして遠く離れた主君にわざわざ伺いを立てなければならないのだ。

君主は現場にいるわけではないから、勝機を掴めない。逃げどきさえも分からないだろう。だからこそ責任を譲渡すべきであるって感じか。

さらに、この責任と権利の譲渡が功を奏したのがローマ帝国だ。ローマ帝国が強かった理由はこの一つに限るとも言われている。ローマ帝国では、執政官を戦場に派遣するときには、彼に絶大な権限を与えた。元老院は開戦と終戦の権限しか持たない。執政官がいちいち元老院の指示を仰いでいたら、その戦にかったとしても功はすべて元老院のものになる。それでは兵士の志気もわかない。そして何より、現場にいない元老院の指示など的外れになり、作戦そのものを妨害することがあるからさ。

ジャックウェルチの発想、そしてGEの凄さは、実はとうの昔に、あのローマ帝国が実証していたわけだね。

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