乗りかけた船には、ためらわず乗ってしまえ。 by ツルゲーネフ | 映画『ライフ・イズ・ビューティフル』 2002年3月29日(金曜日) : : コメント数(4564) この映画はとてつもない。こんな映画は観たことがない。笑いあり、涙ありの映画なら世の中に5万とある中、この映画は笑いの中にこそ涙が存在し、涙の中にこそ笑いが存在する、とてつもない映画だ。 映画『ライフ・イズ・ビューティフル』。イタリアの鬼才ロベルト・ベニーニが脚本し、監督した作品。アカデミー賞3部門を受賞し、カンヌでは国際審査員賞を受賞した怪物映画だ。 見るまでは、その理由もわからなかった。人生は美しい?陽気なイタリアの雰囲気から、この奇才監督の名を引きぬいて考えていた俺っちは、この映画『人生は美しい』を素直に捉えすぎていたようだ。間違っていた。ベニ−二はまさしく鬼の才能を持ち合わせていた。 この映画の中で、人生は果てしなく美しい。その美しさは、笑いに溢れ、溢れすぎた笑いは涙の雨を降らせる。その涙もまた美しく溢れ、海のように荘厳に輝いている。 暗闇の中、涙の海は、ただただ恐ろしいばかりだ。遠くを見渡すことも出来ず、夜空と海の見分けさえつかない暗闇だ。ただ、その海に太陽が昇った時、海は目を刺し殺すほどの眩しい光りを放ち、一面を黄金の絨毯に変える。 この映画はまさしくそんな映画だ。 ただただ涙の海を眺めているだけの映画なら山ほどある。先の見えない真っ暗な海は、我われ観客に、絶望感や悲哀を感じさせ、またまた海を満たすんだ。 ただ、この映画の中でその海は、笑いという太陽を持っている。笑いという太陽が、絶望感や悲哀で満たされそうな海をなんとも美しい黄金の絨毯に変えている。 笑いという太陽を持ち、それに照らされる涙の海を描いたこの作品。まさしく『ライフ・イズ・ビューティフル』の名がふさわしい。 見終わった俺っちに涙はない。あるのは、ただただ呆然と海を眺めるような偉大さへの畏怖だった。 |
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